森永博志のオフィシャルサイト

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プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)

トランクに何がはいっているか、まったく記憶にない。それで時間があると地上におりてゆき、裏庭のトランクをのぞく。ほとんどが紙の束だ。傷んでるのも多い。ゴミ同然のものもあり、捨てる。デジタルがいかに合理的かよくわかる。しかし、まったく未整理の、この混沌の中に何が眠っているのか? 探る行為は探検だ。けっこう快楽になっている。

昨日は、自分がアート・ディレクションをつとめたCD『SOUTH EDEN』のジャケットとインナーがでてきた。レコーディングはロンドン。『Desperado』『Rock Me Tonight』『Killing me Softly』など14曲をラバーズ・ロック調にカバーしたアルバム。ゲスト・ヴォーカルのひとりにシュガー・マイノット。ミュージシャンは経験豊かなロンドンのスタジオ・ミュージシャンたち。

コンセプトやイメージをつくるなかで、クリエイティブ・チーム(当初はロンドンのトマトに依頼しようとした)を沖縄に派遣したが、巨大台風の襲来を受け全滅。急遽、ひとりでありったけのカメラを持って日の出桟橋から小笠原諸島行きの旅客船に飛び乗った。

父島、母島のビーチを散策し、絵になるオブジェを探した。それでアルバム・タイトルのE型をこしらえ、DENは手描き、あとはタイプライターで打った文字を使い、カシオからでたばかりのデジカメで撮り作成した。インナーは、以前アフリカへ行く途中寄ったパリの旅行社でもらった安物のパノラマ・カメラで撮った小笠原諸島と種子島、竹富島の風景写真をコラージュした表に裏は島々を巡る旅行記とパノラマ写真で構成した。

CD発売後、期間限定でアルバム・タイトルと同名のDJクラブを三宿にオープンした。そこでは新たに小笠原諸島に渡り撮影した16ミリのアンビエント映画をCDをサントラにし上映した。

トランクで見つけた紙は、過ぎ去りし日を蘇らせる味わいを持っている。

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