プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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タイトルの入っていない本をつくりたかった。
タイトルがなければ絶対書店では売れない。表紙に、絵、写真以外に入ってない。会社名も作家名も値段もバーコードも入っていない。 そんな本をつくりたいと想っていた。
強く想っていれば、想念は天に通じるのだろう。チャンスはめぐってきた。
京都で大がかりなディスコの建設が進んでいた。エクゼクティブ・プロデューサーをはじめ、空間、照明、音響らほとんど知り合いが仕事をしていた。 プロデューサーからオープン記念に本をつくってくれないかとたのまれた。メイキング・ストーリーを面白く書くこと、ディスコの知られざる歴史を書くこと、京都旅行記ら内容は打ち合わせの場で決まり、各々の作家も選んだ。
アート・ディレクターは、かつてWORKSHOP MU!なる3人組のクリエーター・グループを結成し、70年代初頭にはっぴいえんど、サディスティック・ミカ・バンドのアルバム・ジャケットでロック・デザインを世に示した、そのMU!のメンバーのウータンこと中山泰に依頼した。
ぼくのデビュー作『原宿ゴールドラッシュ』もウータンにカバーをデザインしてもらった。ポップなセンスは抜群だ。
本の内容の大概は決まり、どんな形態にするか、とりあえず一度京都に行ってみようと、新幹線にのった。
名刹をめぐっていると、寺の売店でミニチュアの屏風を売っていて手にとってみると、ちょうど単行本のサイズだった。
すぐに頭に「屏風本!」と閃いた。ウータンに見せるために2,3個買い求めた。それで用事はすんだので、東京にトンボ帰りした。ウータンの事務所を訪ね、構想を伝えた。
表紙はタイトル他文字無しの屏風型!それだけいって見本を渡した。
記念品なので、書店で売ることはない。造りはできるだけゴーカにし、もらってうれしいと感動してくれる体裁・内容にする。ディスコ・オープンの日に招待客に店で渡す。のこった本は、本屋ではなくショップやバーで一冊2000円(原価)で売ることにした。
それで生まれたのが、この本だ。
屏風型の表裏の余裕のスペースをウータンのコラージュ・アートが埋めた。
このころパソコンが登場し、このアートにも使っている。
屏風づくりは大日本印刷の製本技術にはなく下町の職人さんにたのんだ。
本の中のウータンのデザインも、なんと一頁一頁すべてちがう。紙も壁紙まで使うこりようだった。こんな本は、日本だけでなく世界にもないのではないか。(つづく)