森永博志のオフィシャルサイト

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プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)

「未来の文明はーー現代のよりもっと良い文明はーー人間をどれだけ芸術家であったかということによって評価するんじゃないかね。わしやあんたは、もし未来の考古学者が町のゴミの山の中に奇跡的に残っている作品を見つけてくれたら、創造した作品によってのみ値打ちを定められることになる。それ以外のことなどまったくどうでもいいことなのだよ」(カート・ヴォガネット『母なる夜』池澤夏樹訳)


原宿のゴローズのゴローさんの一周忌の追悼会で、懐かしい人たちと再会した。


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※一周忌の会場に飾られていたゴローさんの礼服、メンズ・ビギ製。



まずは入り口に、元ミュートビートのメンバーだったタマちゃんがいて、「ヒラクさんたちもきてます」と教えられた。


この会は、ゴローさんと親しかった人だけを招待するという限定式だった。


ヒラクが座るテーブル席にはキンちゃんもいた。

ともに長髪を後ろで束ね、相変わらずハーレー・ライダーのカッコをしていた。  声をかける。ふたりは同時に驚きの表情を見せる。彼らは席を立ち、立ち話できるフロアーに移動し、話しこむ。

「俺たち、いつ、会ったんだ?」と彼らに聞く。

「下北のマサコであったんだよ」とキンちゃん。

キンちゃんはバイカー&カメラマンだ。キンちゃんとは1989年に南米にトランス・アマゾン&アンデス・アドベンチャー・ラリーに行った。

マサコということは、1970年頃だ。45年も前のことだ。

「俺ら、生き延びてるけど、いつ死んでもおかしくないくらいボロボロだね」というと、ヒラクが「ボロボロだよ」と笑うのだった。

ヒラクは以前はシューズ・デザイナーだったが、いまはバイカー用のアクセサリーを工作しているようだ。

 

  ヒラクは拙著『ドロップアウトのえらいひと』に登場する。

「マッケンジーがさ、演出した、ほら、芝居なんだっけ、こういう円形の劇場でやった?」

「岡田真澄ひとり芝居の『微睡みの南』』

「そう。あれ、面白かったな」

とヒラクは突然回想して言う。

 

 そこに、デニーが登場する。デニーはバーマンだ。長らく千駄ヶ谷でやっていたビートニク系のバーHOWLがクローズし、いまは渋谷南平台に新しくバーをオープンしたという。

「あのころは、だいたいデニーのバーで重要なことは決めていたね」 と、デニーとの対話をはじめる。

「それも、カウンターに座ってな。カウンターの向こうにデニーがいてな」

「だから、カウンター・カルチャーなんだよ」とデニーは相変わらず。デニーも『ドロップアウトのえらいひと』に登場する。


会場は恵比寿ガーデンヒルズの真ん前のレストランだ。ビバリーヒルズにでもありそうな上流な店構えである。一階のクロークにコートをあずけ螺旋階段をあがると、そこは円形のフロアーだ。フロアーにはテーブルがならび、岩城滉一も来ている。男たちが多い。


新しく入ってきた客の中にギャングスターのようなスーツ姿のシゲさんを見つけ、彼のもとに挨拶に行くと、傍らにいたのは佐藤考信だった。

「甥っ子、活躍してるみたいじゃん」コーシンに言われ、

「パリコレ、あれやれたのミロのおかげもあるんだよ」

といきさつを話す。


スクリーンにゴローさんの生誕からのヒストリーが流れる。

アイビー風少年がスー族へと脱皮していく変遷が映し出されていく。

真鍋太郎とヨウコちゃんが現れる。

彼らの座った席に着く。

「太郎ちゃんと会ったの、覚えてる?  あの、新宿の区役所通りにあったバーだろ。そこで、太郎ちゃん、バーテン、やってたろ?」

「あそこ、前のかみさんがやってたバーだよ。坂本龍一が店の選曲してたんだよ」

「エーッ、ほんと!」

それは、1973年頃とかだ。坂本なんて、まだ、無名だ。


 

  会場の入り口でヤッコさんこと高橋靖子さんからゴローさんの奥さんを紹介された。すると、奥さんは言うのだった。

「森永さんですか! ゴローさんの息子のジュンが森永さんの本、大好きで、話しはよく聞いてました」


 

『ドロップアウトのえらいひと』には49人のアウトサイダーたちが登場するが、しょっぱなはゴローさんだ。ゴローさんは御神体だ。


会場にはゴローさんの朋友であった「米屋のテッチャン」の倅の一太郎もいて、忙しくスタッフとして動きまわっていた。

立ち話で、彼がDeus ex machinaの仕事をしていると知った。


彼とは数ヶ月前に芝浦〈はるみ〉で興じた森永会ではじめてあった。彼は『ドロップアウトのえらいひと』の愛読者として出席した。他の若者たちも、そうだった。

Deusのことは一昨日、写真家でスケート・ボード製作者のパークに教えてあげたばかりなので、あまりの早い展開に驚いた。

その件で連絡するよと一太郎との会話を終えた。


こんな風にして街中では関係が生まれ継続されていき、『ドロップアウトのえらいひと』が今日もストリートに書き記されていく。

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