プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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太陽が無かったら地球で人は生きてゆけない。
原子力は無くても全然生きていける。
そんなものなくても人類は過去に幾何学、天文学、数学、化学らの素晴らしい知性をえ、壮麗な文明を築いてきた。
そこには原始宗教と新興宗教の違いほどある。
太陽にはエネルギー以上の意味がある。
暦の元であったり、古代文明の源であったり、芸術活動の守護神であったり、国家のシンボルであったり、建造物の秘密であったり。
原子力にはエネルギー以外の意味もない。
古代エジプトではすでに、太陽が地上につくる影から計算して、地球の円周を測定していた。
2000年後、大気圏を脱出したロケットから撮った地球の写真を科学的に測定したら、古代エジプトのときの数値とまったく同じだったという。
太陽は、素晴らしい!
その恩恵をうけて自然も我々も生きている。
エネルギーも、それでいいではないか。
太陽以上のものを欲するなんて、天の掟にそむくとんでもない暴挙だ。
今回のような事態が想像もつかない1999年、自分は元祖的サーフィン&アウトドア・フォトグラファーの佐藤秀明と組んで、『陽はまた昇る』という太陽の写真集を制作した。
佐藤秀明が主に辺境をめぐる旅の途上に撮った「世界中」の太陽の写真集だ。
序文を荒俣宏におねがいした。
長くなるが一部を引用する。
そこに集められた太陽は、ほぼ例外なく、再生したばかりの弱々しい、それでいて心が安らぐような赤んぼうの太陽ばかりであった。 あるいは、年老いて死にかけた太陽すら、あった。
そして見れば見るほど、太陽への親しみ、なつかしさ、いとおしさ、切なさを感じるのだった。
太陽を抱きしめたくなる思い。きっと佐藤が感じたものも、それだったろう。(中略)
わたしたち人類は太陽再生のためにどれだけ思いを熱くしたことだろう。
古代の絵画がそれを跡づけしている。
佐藤秀明の太陽は、そのような古い思いを継いでいる。
陽はまた昇る――
今だからこそ、見る価値がある。
わたしたちの心の中にある太陽が、瀕死の状態にあえいでいる今だからこそ――。
僕は編集上の演出として、各頁に作家や哲学者、詩人らの太陽に関する名言、格言を引用した。
例えば、
「われわれの営みはたとえそれが暗黒のものであろうと、その中心には、汲みつくすことのできない一つの太陽が輝いている」カミュ
「太陽はあらゆる星であり、ひとつの星はあらゆる星、そして太陽である」プロティノス
「天光逢空碧」李白
「地球と太陽の距離は一億八百万キロメートルなので、ピラミッドの高さを十億倍すると、地球と太陽の距離が生まれる」ヴェロニカ・イオンズ