プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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幕末血風名言集!
芝浦町内血風録で紹介した大平屋ーーちなみに店主娘の大平真梨さんはセカイノアワリのメンバーの女性と高校のクラスメートとわかり、真梨さんはいまミラノにはじまり、海外の展覧会に出品し、今度はシンガポールに進出するーーで懇意になった元乃村工芸の伝説のデザイナー、片山さんと仕事で日光に足をはこんでいる。
片山さんはその容貌からして鬼才柴田錬三郎のようだと印象をえていたが、仕事ぶりも天才を超え神業の領域にたっしている。
とにかく早い。
仕事に速さのない者は愚鈍である。
打てば響く。
気持ちよい。
日光は日光江戸村江戸ワンダーランドをたずねている。
そこにゴールデンウィークまでに江戸生活文化伝承館を急いで創設する。
これは柳宗悦のおこした民芸運動の復興と新世紀の未来派を融合するきわめて奇妙奇天烈なミュージアムになり、無論R18部屋もある。
ポスターは巨匠田名網敬一。
展示デザインの巨匠とポスターアートの巨匠を頭にいだいたプロジェクトだ。
先日、現代美術館になにやら東京をテーマにした企画展が開催され話題になっていたので、最終日、友人たちとのぞきにいったが、悲惨な内容だった。
オノヨーコ展は迫真の内容だった。
「あのひどさが、東京ってことなのかな」
「だとしたら、すごい」爆笑!
「あの空疎さ、フラットさ、似非インテリぶりが、ね」
「しょせん、東京都だもんな」
「制作費のないデパートの企画展だね」
「オリンピックがらみのものはろくなもんがない」
などとぶつくさいいながら空疎美術の殿堂をあとにした。
ということにはならないよう、見終わったら人生観、死生観、世界観に異変がおこっているような、そんなミュージアムを目指す。
改造士のドナルドもメンバーに加わった。
日光江戸村に行くのは、ひさしぶりだ。
昼食をとりに園内の大食堂にはいると、壁面全体に墨でことばが書かれている。
どれもおぼえのあることばだ。
代表のユキリョウイチが「これ、森永さんがえらんだ幕末の名言を書いたんですよ」と説明してくれた。
以前制作したフリーペーパー『原寸江戸魂』幕末語録特集号のためにえらんだ無数の名言のなかからユキ君がチョイスしたようだ。
自分はかつて自分が編集した本のなかによく名言のページをもうけていた。
井上陽水『綺麗ごと』には芥川龍之介の『侏儒の言葉』を模した陽水の名言集を、
布袋寅泰の『六弦の騎士』にも早乙女のドローイングと組み合わせて、『地球の星屑』の普及版『アイランドトリップノート』には編者であった高橋歩が僕のテキストの中から彼が思う名言を選び出し、巻頭のグラビアをかざっていた。
最近も仕事と旅をテーマにした二冊の名言本に、ぼくのことばがえらばれていた。
江戸村お狩場の壁面名言集はインパクトがあった。
言葉が大きく筆書きにより拡大されると、そこに情動さえあらわれる。
本や雑誌、あるいはWebに見る字はシステムの都合で画一化されたものだ。
そのことばが秘める本性的なものは消えている。
書き文字ば自在だ。
のびのびしている。
叫んでも、シャレのめしてもいる。
愛嬌も度胸もある。
血気も覚醒もある。
しかも、そこにある名言は僕が膨大な文献のなかから選んだものだ。
ことばに仕えるものとして、こんなによろこばしいことはない。
新しく創設する伝承館にも江戸魂を伝えるこばを掲げようと、また、選文作業にはいった。
徳川家康は「いかなる理由があっても、戦争はしてはならぬ」と遺言を残し、この一言のもとに江戸二百五十年の平和が守られていた。
また、流行なるものの空疎さは、為永春水が、こう書いていた。
流行矢の如く、
昨日の新奇も今日は古し。