すこしは危機意識はあったのだと想う。

1982年、桑原茂一と組んでスネークマンショー・カセット・ブックを制作した。

通称、核シェルター・ブック。

箱入り本だった。

その箱のデザインが核シェルターだった。

　

実際に鉛を使い、箱をつくった。

それを撮影し、印刷し、ケースをつくった。

だから一見、重そうな鉛の塊に見える。

内容は、実際に高価値のトレジャー（それこそワンピース）をつくり、バリ島の某所に隠した。

読者はその本を持ってバリに行き本物の宝探しができる『南海の秘宝』という映画仕立ての冒険譚。主演は伊武雅刀。

他に、自分が書いたノン・フィクション『実録盗聴エディ』、ひさうちみちおのCOMIX『お茶の間の見た夢』他。

匂いも音も宝探しもついていた。

定価2800円にもかかわらず初版５万部が一瞬で店頭から消えた。

ここには自分たちのクリエイティブな夢がつまっている。

それが永遠にのこっていくことを願って、核シェルターブックにした。

ニューヨークに持って行き、パーティーで会ったバスキア、キース・ヘリング、Ａ・ウォーホルにプレゼントした。

しばらくしてから、ウォーホルから20冊注文が入った。

この本の編集助手は沼田元氣だった。