プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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いまあらためて見ても、造りがしっかりした本だ。手元にはなかったが、先日渋谷古書センターで見つけた。
吉田カツ絵ばなし集『満月変』、発行は1983年11月8日、発行所は『スナイパー』というハード・コアなSMマガジンをだしていたミリオン出版だ。箱入り、ハードカバー。凄いのは、巻頭に吉田カツの作品のプリントがついている。これは、手作業だろう。
内容は吉田カツのエロティックな描き下ろしの絵と14人のクリエーターたちの文章の競演。そのクリエーターは宮内勝典、鍵谷幸信、鈴木力、高橋睦郎、北中正和、繰上和美、山際淳司、篠原有司男、石井聰互、蜷川幸雄、野火重本、喜多一幸、村上龍、森永博志。
ぼくは、バリ島でのマジック・マッシュルーム体験とバロウズと『地獄の黙示録』をまぜあわせたフランスのヘビィ・メタル・コミックスのような物語を毛筆で原稿用紙に書いた。若干、編集にも関わっている。篠原有司男が執筆しているのが、凄い。
吉田カツとは70年代中頃から雑誌の挿絵や『ポピュラー』『ラウンド・ミッドナイト』などの作品集の制作で組んで仕事をしたが、雑誌の場合こちらの要求を素直に受けてくれたことなんてなかった。なんで、こんな絵になってしまうんだ、とあきれるようなときも多かった。かなりひねくれた性格だった。それがまた、吉田カツとの仕事の醍醐味にもなっていた。そこには激しい葛藤があったのだ。お互い、もう二度とやりたくない、なんて一時的絶縁をしたこともあった。
それでも、『満月変』では、編集者でしかなかった自分に、こんなチャンスを与えてくれた。作品集に長文の後書きを頼まれもした。
『満月変』のころには、現・幻冬舎代表の見城徹から声をかけられ文芸誌『野性時代』にエッセイを連載していて、見城氏から「小説も書けるんじゃないか」と言われ、この『満月変』に寄稿することになった原稿を読んでもらったが、結局、小説は書かなかった。
共著ではあるが、これが『明日は騒乱罪』に次ぐ、自分の文章が収録された単行本の2冊目だった。