原子力のことが騒がれている。

すでにレベル７という最悪の状況になってしまったことに、日本人ばかりでなく世界の人たちが不安をおぼえている。

自分の身近にひとり原子力発電所の社員だった者がいる。

名を通称門ちゃん、門野久志、現REDSHOESのオーナーだ。

出身は福井県。地元で最も大きな企業が関西電力だった。

そこに社員として入社すればエリートと認められた。

門ちゃんは関西電力に就職し、仕事は美浜の原子力発電所の運転員だった。

サラリーマンだったが10代のときから激しく胸を焦がしたローリング・ストーンズへの想いがくすぶっていた。

一度切りの人生を門ちゃんは「10年先の人生が見えてしまう」生き方で終わらせたくない、自分の好きなことにチャレンジしてみたいと意を決して、25歳でドロップアウトした。

原子力発電所をやめ、何の伝もないまま東京にやってきた。

求人誌でREDSHOESのウェイターの仕事についた。

３ヶ月後、ストーンズが来日した。

REDSHOESのオーナーだった松山勲氏はストーンズ・ファミリーとのコネクションを持っていたので、バック・ステージ・パスを手に入れることができた。

東京に出てきて４ヶ月目、門ちゃんはストーンズの楽屋にいた。

96年に独立し、自分のバーを持った。

常連客はバクチク、Ｘ、奥田民生、ルナシー、中村獅童たちだった。

REDSHOESはクローズし、松山氏はガンで倒れた。

2002年、門ちゃんは伝説となったREDSHOESを復興する使命感にかられ、南青山の地下にリ・オープンした。

その復活を記念して、門ちゃんと共同監修という形で、『レッドシューズの逆襲』という本を制作した。

シーナ＆ロケッツ、横山剣、Ｊ（元ルナシー）、中村獅童らが思い出を語ってくれた。松山勲氏の病床での最後の談話も掲載した。

門ちゃんが原子力発電所に勤めていたことを知る人はいなかった。

事実を知ったＪは「発電所；変わっただけのことじゃないですか？」といったので、「エッ！？ナニそれ？」と訊くと、「だってREDSHOESだって発電所ですよ。ガンガン人にエネルギー送り込んでるんですから」と答えた。www.redshoes.jp