プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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近藤等則新作
僕が直接的に制作に参加したわけではないが、最近、CDの制作に関与した。
作品は、近藤等則の新譜『あなたは恋を知らない』、あの絶えず先鋭派の筆頭であった近藤さんが、ファンの誰もが想像さえしなかった誰もが知るスタンダードの名曲をエレクトリック・トランペットで吹いたカバー・アルバムだった。
聴いた桃井かおりは「あの青い風と愛を囁き、あの山の天辺で月と戯れ、過酷な大自然と寝て来た色気はもう音とか曲とか、、ただ超えて気持ちいい。そう、もう近藤さんが音楽だよね」と、江國香織は「音が直接触れます。星が降るみたいだったり、毛布で包むみたいだったり」と、荒木経惟は「センチメンタルで、えろてぃっくで、切なくて、ジャポニズム・ジャズ」と、SUGIZOは「それは僕の憧れ、いつか辿り着きたい音」と評する名盤だ。
制作にいたるはじまりは、昨年の春、近藤さんからの電話だった。
青山〈CAY〉のライブに誘われ、公演後、久しぶりに会話した。
18年間のアムステルダム生活を終え、帰国。アムスでは教室よりも広い自分のスタジオで膨大な作品を制作。それを日本で発表したいが、18年間も日本を留守にしていると、浦島太郎も同然、音楽業界のことに疎くなり、「森永君、どこかないかね」と相談を受けた。
では、音源、聞かせてください、と話しは終わった。
いやー、大役を仰せつかってしまった、とプレッシャーを感じたが、何とかお役にたとうと心に決めた。
現在の商業主義が蔓延った音楽業界では、通常のレコード会社から発売するのは易くない。
18年も日本を離れていたら、いくら、近藤さんが過去にスターであったとしても、彼の音楽に熱意を抱き、売りだそうとするプロデューサー、ディレクターがいるとは思えない。
何枚ものCDが自宅に届いた。
ヴォーカリストとの共演作、アンビエント系、スペーシー系と多様だ。
なんせ、アルバム40枚以上に値する曲を録音していた。
そのなかでも、今回発表されたスタンダード集が秀逸に感じた。
近藤調の強い主張はないのに、グイグイと引き込まれていく。
『白いドレスの女』の冒頭シーンが鮮烈に蘇ってきた。
魂が気持ちよく惑わされていく。
これなら、ミックこと立川直樹に相談してもいけるだろう、と確信した。
近藤さんのことをミックに話すと、以前、仕事は一度したことがあり、興味はあると言う。
2014年7月3日、六本木〈va-tout〉で近藤さんとミックの対面となった。
そのときの記録は、このWebのクラブ・シャングリラ27に残されている。
また、近藤さんと僕の関係は、同じくWebのプロフィール99に書いてある。
それで、進行した。
ミックからインディーズ系だがワールドワイドな活動もしているプランクトンから発売されることが提案され、リリースしてるアーティストはペンギン・カフェ、サム・リー、カニサレスと異色だ。
近藤さんもミックにまかせたといい、プランクトンから発売が決定した。
ミックと僕でライナーノートを書くことになった。
あの日の、近藤さんとの約束を果たせて、ほっとしている。
このアルバムは近藤等則の作品のなかでは異色だ。その分、多くの、それこそ近藤ファンではない人たちにも、名曲が届いている。