プロフィール★森永博志 (もりなが ひろし)
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タイトルは『AMERICAN ROADSHOW』
全96頁の画集である。
奥付けを見ると、
イラストレーション―鈴木英人
ダイアローグ―村上龍
企画―黒沢ビデオ
プロデュース―黒沢久雄、未弘厳彦
アートディレクター―山口至剛
エディトリアルディレクター―森永博志
発行所は東宝出版事業部、制作年は1986年。
鈴木英人はそのアメリカン・ポップ調の画風で一世を風ビした作家だ。
画集のプロフィールを見ると、
1948年福岡県博多に生まれる。1960年代には基地の街・横須賀で青春時代を過ごし、“日本のなかのアメリカ”を吸収する。1971年よりグラフィックデザイナーとなり、1980年にイラストレーターとして彗星のごとくデビューする。以後、EIZINはアメリカにこだわり、アメリカに衝き動かされ、アメリカを最も透明な眼差しで表現する作家としての評価をコマーシャル及び現代アートのジャンルで獲得する。主な画集に『on the sunny street』『南カルフォルニア物語』があり、その他科学万博駅パビリオン壁画、ナショナル、マルセル、デニーズ、アサヒビール、日産自動車などの広告イラストレーションを多く手がける。
画集の半分、見開いたときの右側ページに英人の絵を配し、左側には龍のテキストがレイアウトされている。
タイトルに現したように、映画の画面と字幕という見立てになっている。
テキストは、男と女の対話。
何者かは説明されてない。ふたりの関係も。
9年前女がつきあっていた彼は、いまスポーツ選手か芸能人かスーパースターになっている。スターはNYのウォルドフ・ホテルに宿泊し、女は彼を訪ねていこうか迷っている。
龍のテキストは、こんな感じだ。
P56/「彼とはどのぐらい付き合ったの?」
「憶えてない、すごく短かった。その後、あたし、すぐに結婚しちゃった」
P58/「何回、寝たの?」
「一回だけだったような気もするし、一万回みたいな気もする」
英人の絵は本人がアメリカを旅し、そこでフィルムに記録した風景写真を主観を反映することなくクールに正確に描きうつしている。
まだPCがない時代だ。
英人にとってはアメリカで目にした風景がそのままアートに見えたのだろう。
親日派で知られたデニス・ホッパーは、日本に来ると、特に何かに興味が魅かれるというわけではなく、成田空港から都内へと向かうハイウェイから見える光景のすべてが興奮すると言っていたが、英人にとって70年代、80年代のアメリカは、そんな魅力に満ちていたのだろう。
いま改めて英人の絵を見ると、浮世絵(広重)に通じる眼ざしを感じる。
街道の光景が多いところも、そう感じさせるのか。
龍はテキストを一晩で書きあげ、ギャラの現金とその原稿用紙を新宿のホテルで、まるでやばい取り引きでもするかのように交換した。